Bridge over troubled Techs.

オープンストリーム CTO 寺田英雄の個人的ブログ

無料(期間限定)で読める!:Goodfellow他著「Deep Learning」の日本語翻訳版

ディープラーニングの定番教科書Goodfellow他著「Deep Learningを、

東京大学の松尾研究室のみなさんが翻訳し、無料で公開して下さっています。

Deep Learning

すばらしい活動ですね!

翻訳本が出版されたら、この公開は終了するとのことですので、興味ある人は急いで読みましょう。

悲しすぎる:あるソフトウェア工学者の失敗:日本のITはなぜ弱いのか

 下記の論説を読んだが、正鵠を射すぎていて、グウの音もでない。
 (ある意味で)日本人をやめたくなってくる、いや日本で働くIT屋を辞めたくなるというのか・・・。日本がIT産業で世界をリードする結果を出せない原因は、日本の社会構造、その根本にある現代日本人の精神構造によるところが大きいという話。詳細はぜひ本文を御覧ください。
 だいたい、他の工学分野、例えば機械工学や電子工学などでは、学問的に正しいことは、現場(企業)に行ってもそのまま正しいのが普通なのに、日本のIT系だけはそうなっていないですしね。
計算機科学やソフトウェア工学の高度な教育を受けた人が、正しい知見を仕事に使おうとすると、総スカンを食う企業があるなんて、特にそれが大企業に多いなんて、アメリカの同業者から見たら信じられないでしょうね。エンジニアを『ソフトウェアコード製造装置』としか見ないのが、日本の業界標準なのだから。
 世界基準で優秀なIT人材を作ると、日本のメジャー社会では通用しない。もはや、日本的精神の呪縛から自由なベンチャー企業に期待するしかないのかな。
 

技術書は新しいものを買う、数学書は古いものを買う

Amazonなどを良く利用する人は気づいていると思うが、出版されてから年月が経った中古本の値段の低下率は、本によって全く違う

下落が激しいのは、おもに技術書、技法書、ビジネス書である。特に、最新のIT技術を扱った本や時事ネタのビジネス書は下落が激しい。理由は簡単で、IT技術は進化・変化が激しく、本の内容がすぐに陳腐化するのからである。出版から1年もたてば、中古本の相場が新品価格の半額以下という例も珍しくはない。

したがって、技術書を買うときは、基本的に最新版のものを買わないと意味がない、ということになる。あるいは、中古本の相場をチェックして、あまり新品と変わってないかどうかが購入の目安になる。

一方で、定番の数学や文学などの時代によって内容が変わらない分野の本は、出版からかなり年月が経っていても、中古本の値段が下がっていないものがある。これがいわゆる『古典的名著』というやつで、値段が落ちないのは時代を越えて内容が高く評価されている証拠である。こういう本は、その分野に関わる人の多くが読んでいる可能性が高いので、興味ある分野の本であるなら、迷わず購入すべきである。

ちなみに、緊急性はないけど、ちょっと興味があるぐらいの分野に対しては、私は中古本を多いに活用している。私のやり方は、そうした本をAmazonの「欲しいものリスト」に入れておいて、半年に一回ぐらい中古本の相場をチェックし、新品価格の10%ぐらいに下がってから買うという方法である。これぐらいなら、気軽に読めるし、読んでみてつまらなかったら躊躇なく捨てる(BOOK OFF行き)ことができる。

上手く行かないときは、優先度無視法がオススメ

仕事をやっていると、周期的に上手く行かない時期が訪れる。スランプというやつだ。そういう時期に私が実行しているのが『優先度無視法』だ。

誰でも日々の仕事には大抵やるべきタスクがいくつかあると思う。ビジネススキルの教科書的には、それらに優先度をつけ、合理的な順番で片付けるべし、ということになっている。

好調な時期には、これが上手くできる。優先度に従ってテキパキとタスクを片付けられる。

ところがスランプになるとこれが上手くいかない。優先度的に先にやるべきだと分かっていても、やりたくないなぜか気が進まないということがないだろうか?これは(私の解釈では)表面的な合理性を心が拒否している状態だと思う。自分では気づかないうちに、ひどく疲れているのか、深い部分で何かが納得がいっていないに違いない。

これを状態を自覚したら、私はしばらく休憩して、そこからは優先度を無視して作業をする。優先度無視法(私が勝手に命名)の発動だ。

優先度無視法は、とてもシンプルな方法だ。単純に、気持ちとしてその時点で一番やりたいタスクから先にやることにするだけ。やりたくないことをやらずに済むので心理的な負担はどんどん軽くなっていく。調子が戻ったなと思えるまでそれを続けるだけである。

注意点としては、(当たり前だが)締め切りが迫っているタスクがあるときに優先度無視法をやりたくなったら、依頼元とちゃんと調整すること。締め切り延長が交渉可能ならしなければならないし、それが不可能なら、どうにか締め切りまでは頑張るか、締切を破る(!)かである。(締め切りを破れば相当なペナルティを受ける。それによって自分および関係者が受けるダメージとの相談で決断するしかない)

え?もう全てなにもやりたくないときはどうすればよいかって?・・・休暇を取るか、仕事辞めるしかないでしょうね。

fun-tech勉強会発表内容:機械学習のための微分法の復習

本日の fun-tech 勉強会で話した資料。特段新しい内容はありませんが、復習用にどうぞ。

www.slideshare.net

読書メモ:アクセル/デジタル時代の営業・最強の教科書

  • 本書は、新しい営業(セールス)のあり方を説いた本である。私は技術畑の出身であり、やはりどうしても科学技術系の本を読みたくなることが多く、普段はこの分野の本はあまり読まないが、MIT卒の計算機エンジニアが実践した科学的な営業手法を紹介している本ということで手にとってみた。 
アクセル  デジタル時代の営業 最強の教科書

アクセル デジタル時代の営業 最強の教科書

 
  • 著者は、マーク・ロベルジュ氏。創業間もないハブスポット社でイチから営業組織を構築し、大成功させた人である。営業経験ゼロから、エンジニアリング発想でそれを達成したというのが面白い。これは、今で言うマーケティング・オートメーションの概念につながっている。

目次(抜粋):

第1部 営業採用方式(いつもおなじように成功している営業スタッフを採用する)

第2部 営業育成方式(すべての営業スタッフに同じ方法で研修する)

第3部 営業マネジメント方式(営業スタッフに同じ営業プロセスを踏ませる)

第4部 見込み案件創出方式(営業スタッフに毎月同じ質と量のリードを与える)

第5部 テクノロジーと実験 

主な感想

  • 読んでみた結果は大当たり!であった。事前の予想では、最新のデジタルツールを駆使したオンライン営業のテクニック集のようなものかと思ったが、全くそれは違っていた。
  • 『デジタル化』と聞くと、デジタル=数値管理=冷酷で非人間的な管理強化・・・みたいなイメージを抱く人もいるかもしれないが、本書が主張していることは全く違う。ごく自然で当たり前の営業マン=人間の心理や行動をデジタルでうまくサポートすることで、加速=アクセラレーションしようという主旨である。
  • 実際、紙面の多くが著者が実際に自身の会社で実践した営業マンの採用や指導方法、顧客対応(電話の仕方の事例が多いのには驚いた)、評価体系の事例など、アナログで泥臭い話題に費やされている。
  • また、スタートアップなどで最初にどのような人材を採用すべきか、失敗しやすいポイントなども解説されていて、非常に参考になった。
  • では、どこがデジタル化の本質なのか?著者の主張の柱は『測定可能で予測可能な営業活動(売上)』である。まさにこれは科学的な思考方法だ。
  • 営業マンの行動や顧客のステータスなどをすべてをモデル化して定量的に評価して改善しようとする姿勢がすばらしい。従来なら『勘』や『経験』と呼ばれていた領域もモデル化してく様子には感銘をうけた。
  • モデルと指標があれば、トップ営業マンの行動特性を新人営業マンにも指導しやすい。安易な営業同行OJTなどより何倍も育成効果が高いだろう。
  • 後半は、見込み案件の創出、すなわちマーケティングの具体的手法が述べられている。特にハブスポット社が得意とするインバウンドマーケティングの手法が詳しく述べられていて、ここはすぐにでも仕事に使えそうである。

まとめ

  • この本は一応営業が主題だが、挙げられている思考法やノウハウは、エンジニアなど他の職種のマネージメントや育成・人事採用にも役立つと思う。デジタル時代の経営書としても読めるので、ビジネスに関わるあらゆる人におすすめできると思う。
  • 営業とマーケティングの連携はますます密接であることが求められる。インバウンドマーケティングはこれからのビジネスマンの必須の知識になるであろう。

 

 

読書メモ:社長、ウチにもCTOが必要です

CTOという言葉がタイトル入っている本は珍しいので読んでみた。いくつかヒントを得られたので価格分の価値はあったと思う。

社長、ウチにもCTOが必要です

社長、ウチにもCTOが必要です

 

サブタイトルの通り、前半というか大半がストーリー仕立てでCTO的な発想を伝えようとするもの。個人的には情報密度が薄くなるのでストーリー仕立ては好みではないが、こういう書き方が好きな人もいるのは分かる。

トーリー部完結後の最後のパートは『経営者インタビュー』となっており、ここが一番読み応えがあり興味深かった。日本の名だたる製造業でCTO職を設置している企業の経営者(またはCTO)へのインタビューである。

各社細部は異なるものの、通底するCTO発想というものを感じ取ることができた。(IT系の企業の方が登場していないのはちょっと気になったが・・・)ネタバレになるので詳細に興味のあるかたは原本をご覧ください。

とにかく、CTOがやるべきことをもう一度見直すことができ、自分に足りない点が改めて自覚できた気がする。