Bridge over troubled Techs.

オープンストリーム CTO 寺田英雄の個人的ブログ

ねこもに、で特許をさらに出願してみた:分散協調型IoT位置推定

本日当社よりプレスリリースがでましたが、ねこもに関連で特許をもう一つ出願してみました。これは、昨年出願したものの続編というか、拡張版のようなものです。

www.opst.co.jp

詳しくはここには書けないのですが、もちろん類似の先行事例があるクラウド型のBLEタグの位置推定とはちょっと違うアイデアを盛り込んでいます。(じゃないと特許になりません。)ヒントは分散・協調です。

ちょっと脱線しますが、位置推定に限らず、『クラウド上の「プラットフォーム』にIoTデータを集約して、そこで解析やら可視化をすればOK』という発想は、じつはIT屋さんがよく思いつくありきたり(失礼!)なもので、あちこちで似たようなものが提案されています。IT屋さんには嬉しいアーキテクチャなのかも知れませんが、ユーザメリットをどう出すのか判然としないものが良くあります。

かつて1990年代に花王仮想工場に取り組もうとして失敗したという歴史があります。これはいまでいうIoTやIndustry4.0に相当する先進的なものでしたが、失敗の大きな原因は通信コストだと言われています。この問題は現在でも潜在しつづけているのではないでしょうか。大規模なIoTを展開しようとすれば、この通信費の問題は必ずついて回ります。いまならソラコムさんあたりがなんとかしてくれるかもしれませんが。

 

読書メモ:『ビジネススクールで身につける思考力と対人力』(日経ビジネス人文庫 船川淳志 著)

 

ビジネススクールで身につける思考力と対人力―ポケットMBA〈1〉 (日経ビジネス人文庫)

ビジネススクールで身につける思考力と対人力―ポケットMBA〈1〉 (日経ビジネス人文庫)

 

 P.4:

 ところが、日本の企業研修の場では、冒頭の参加者のような反応、つまり「なぜ?」に対する答が返ってこないことは珍しくない。実際「なぜ?」と尋ねられたときに、「なぜならば」を答えられない、つまり現象は述べることができても原因を考えられない参加者は少なくない。まして、錯綜した原因を構造的に考え、問題を把握するというレベルになると、お手上げの状態になってしまう。加えて、問題把握ができないと、問題解決は期待できない。そのため、「裏返しの対策論」が横行することとなるわけだ。

 つまり、「シェアが落ちている]という現象に対しては「シェア奪回!」、「部門間の協業がうまくいっていない」という状況に対しては「横串を通して、部門間シナジーを!」と、スローガンを述べる程度のコメントで終わってしまうわけだ。

 気がつけば、このような中身のない「裏返しの対策論」が日本中に溢れてしまっている。「分数ができない」、「漢字がかけない」と学生の学力低下が指摘されているが、むしろ社会人、特に企業人や組織人の思考力低下こそが危機的状況にあると感じているのは、私だけではあるまい。

 2002年に出版された本ですが、指摘された問題は2017年の現在、何ら解決してない気がしてしまいますね...

P.8:

・・思考力がなぜ萎えているかという理由の一つに、頭の中が規制でがんじがらめになっていることが挙げられる。規制に縛られたまま、つまり思考の自由度の低いところでは、論理的に考えたり、問題を構造的に捉えることの規範を学ぼうとしてもなかなか身につかない。規制と規範は似て非なるものであるのに、混同が起き、学習障害となるわけだ。

 

やるべきことは二つ、頭の規制緩和を進めることと、 必要な規範を学びながら思考力を鍛えることだ。

 

無料(期間限定)で読める!:Goodfellow他著「Deep Learning」の日本語翻訳版

ディープラーニングの定番教科書Goodfellow他著「Deep Learningを、

東京大学の松尾研究室のみなさんが翻訳し、無料で公開して下さっています。

Deep Learning

すばらしい活動ですね!

翻訳本が出版されたら、この公開は終了するとのことですので、興味ある人は急いで読みましょう。

悲しすぎる:あるソフトウェア工学者の失敗:日本のITはなぜ弱いのか

 下記の論説を読んだが、正鵠を射すぎていて、グウの音もでない。
 (ある意味で)日本人をやめたくなってくる、いや日本で働くIT屋を辞めたくなるというのか・・・。日本がIT産業で世界をリードする結果を出せない原因は、日本の社会構造、その根本にある現代日本人の精神構造によるところが大きいという話。詳細はぜひ本文を御覧ください。
 だいたい、他の工学分野、例えば機械工学や電子工学などでは、学問的に正しいことは、現場(企業)に行ってもそのまま正しいのが普通なのに、日本のIT系だけはそうなっていないですしね。
計算機科学やソフトウェア工学の高度な教育を受けた人が、正しい知見を仕事に使おうとすると、総スカンを食う企業があるなんて、特にそれが大企業に多いなんて、アメリカの同業者から見たら信じられないでしょうね。エンジニアを『ソフトウェアコード製造装置』としか見ないのが、日本の業界標準なのだから。
 世界基準で優秀なIT人材を作ると、日本のメジャー社会では通用しない。もはや、日本的精神の呪縛から自由なベンチャー企業に期待するしかないのかな。
 

技術書は新しいものを買う、数学書は古いものを買う

Amazonなどを良く利用する人は気づいていると思うが、出版されてから年月が経った中古本の値段の低下率は、本によって全く違う

下落が激しいのは、おもに技術書、技法書、ビジネス書である。特に、最新のIT技術を扱った本や時事ネタのビジネス書は下落が激しい。理由は簡単で、IT技術は進化・変化が激しく、本の内容がすぐに陳腐化するのからである。出版から1年もたてば、中古本の相場が新品価格の半額以下という例も珍しくはない。

したがって、技術書を買うときは、基本的に最新版のものを買わないと意味がない、ということになる。あるいは、中古本の相場をチェックして、あまり新品と変わってないかどうかが購入の目安になる。

一方で、定番の数学や文学などの時代によって内容が変わらない分野の本は、出版からかなり年月が経っていても、中古本の値段が下がっていないものがある。これがいわゆる『古典的名著』というやつで、値段が落ちないのは時代を越えて内容が高く評価されている証拠である。こういう本は、その分野に関わる人の多くが読んでいる可能性が高いので、興味ある分野の本であるなら、迷わず購入すべきである。

ちなみに、緊急性はないけど、ちょっと興味があるぐらいの分野に対しては、私は中古本を多いに活用している。私のやり方は、そうした本をAmazonの「欲しいものリスト」に入れておいて、半年に一回ぐらい中古本の相場をチェックし、新品価格の10%ぐらいに下がってから買うという方法である。これぐらいなら、気軽に読めるし、読んでみてつまらなかったら躊躇なく捨てる(BOOK OFF行き)ことができる。

上手く行かないときは、優先度無視法がオススメ

仕事をやっていると、周期的に上手く行かない時期が訪れる。スランプというやつだ。そういう時期に私が実行しているのが『優先度無視法』だ。

誰でも日々の仕事には大抵やるべきタスクがいくつかあると思う。ビジネススキルの教科書的には、それらに優先度をつけ、合理的な順番で片付けるべし、ということになっている。

好調な時期には、これが上手くできる。優先度に従ってテキパキとタスクを片付けられる。

ところがスランプになるとこれが上手くいかない。優先度的に先にやるべきだと分かっていても、やりたくないなぜか気が進まないということがないだろうか?これは(私の解釈では)表面的な合理性を心が拒否している状態だと思う。自分では気づかないうちに、ひどく疲れているのか、深い部分で何かが納得がいっていないに違いない。

これを状態を自覚したら、私はしばらく休憩して、そこからは優先度を無視して作業をする。優先度無視法(私が勝手に命名)の発動だ。

優先度無視法は、とてもシンプルな方法だ。単純に、気持ちとしてその時点で一番やりたいタスクから先にやることにするだけ。やりたくないことをやらずに済むので心理的な負担はどんどん軽くなっていく。調子が戻ったなと思えるまでそれを続けるだけである。

注意点としては、(当たり前だが)締め切りが迫っているタスクがあるときに優先度無視法をやりたくなったら、依頼元とちゃんと調整すること。締め切り延長が交渉可能ならしなければならないし、それが不可能なら、どうにか締め切りまでは頑張るか、締切を破る(!)かである。(締め切りを破れば相当なペナルティを受ける。それによって自分および関係者が受けるダメージとの相談で決断するしかない)

え?もう全てなにもやりたくないときはどうすればよいかって?・・・休暇を取るか、仕事辞めるしかないでしょうね。

fun-tech勉強会発表内容:機械学習のための微分法の復習

本日の fun-tech 勉強会で話した資料。特段新しい内容はありませんが、復習用にどうぞ。

www.slideshare.net