読書メモ:『ビジネススクールで身につける思考力と対人力』(日経ビジネス人文庫 船川淳志 著)
ビジネススクールで身につける思考力と対人力―ポケットMBA〈1〉 (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 船川淳志
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2002/10/01
- メディア: 文庫
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P.4:
ところが、日本の企業研修の場では、冒頭の参加者のような反応、つまり「なぜ?」に対する答が返ってこないことは珍しくない。実際「なぜ?」と尋ねられたときに、「なぜならば」を答えられない、つまり現象は述べることができても原因を考えられない参加者は少なくない。まして、錯綜した原因を構造的に考え、問題を把握するというレベルになると、お手上げの状態になってしまう。加えて、問題把握ができないと、問題解決は期待できない。そのため、「裏返しの対策論」が横行することとなるわけだ。
つまり、「シェアが落ちている]という現象に対しては「シェア奪回!」、「部門間の協業がうまくいっていない」という状況に対しては「横串を通して、部門間シナジーを!」と、スローガンを述べる程度のコメントで終わってしまうわけだ。
気がつけば、このような中身のない「裏返しの対策論」が日本中に溢れてしまっている。「分数ができない」、「漢字がかけない」と学生の学力低下が指摘されているが、むしろ社会人、特に企業人や組織人の思考力低下こそが危機的状況にあると感じているのは、私だけではあるまい。
2002年に出版された本ですが、指摘された問題は2017年の現在、何ら解決してない気がしてしまいますね...
P.8:
・・思考力がなぜ萎えているかという理由の一つに、頭の中が規制でがんじがらめになっていることが挙げられる。規制に縛られたまま、つまり思考の自由度の低いところでは、論理的に考えたり、問題を構造的に捉えることの規範を学ぼうとしてもなかなか身につかない。規制と規範は似て非なるものであるのに、混同が起き、学習障害となるわけだ。
やるべきことは二つ、頭の規制緩和を進めることと、 必要な規範を学びながら思考力を鍛えることだ。