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オープンストリーム CTO 寺田英雄の個人的ブログ

スピーカーの修理:JBL J216PROのツィーター交換とエッジ軟化処理

自宅の作業部屋のスピーカーは、1992年の上京当時に秋葉原(確かサトー無線)で粘って粘って値切って買ったJBLJ216PROというやつである。そろそろ30年目になるベテランだ。独特の元気の良い音色が気に入っているので、メンテナンスしながらずっと使っている。

最近広域の伸びが悪くなってきている気がしていたので、久しぶりにネットワークのコンデンサーを交換した。ついでにターミナル(端子台)も交換してバナナプラグが使えるようにしてみた。内部配線も全交換した。

ツィーター故障

ところが何をミスったのか、この交換作業が終わったあと左右ともツイーターが鳴らなくなってしまった!過去にも何度かコンデンサー交換はやったことがあり、手慣れた作業なので特にミスしたはずはないのだが。確認すると間違いなく配線には信号電流が流れているので、配線には間違いがない。やはりツィーターのほうが壊れてしまったのだ。

まずはツィーターの分解修理に挑戦してみた。プラスティックの外装にツィーター本体がホットグルーで固定されている。まずこれをハンダごてで溶かす。そして、プラ外装から本体を外そうと試みた。しかし、外装のプラスティックが崩れそうで上手くいかない。30年の経年劣化によりプラスティックが脆くなっているのである。無理やり分解するとおそらくプラスティックが割れてしまい、再利用不能になるだろう。それでは分解修理する意味がない。

やむを得ず修理は断念し、新しいツィーターに交換することにした。

ツィーター交換とコンデンサ調製

オリジナルと同じツィーターはもう手に入らないので、オリジナルと似た音色傾向になるだろうと想像して、チタン製のドームツィーターをネットで物色。最終的にAmazonで見つけた、DAYTON AUDIO製のDC25T-8 をというのを選んだ。寸法的にもちょうど良い。

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新しいツィーターDC25T-8を取り付けた様子

入手したツィーターをエンクロージャーに取り付け視聴してみた。高域はよく伸びて解像度の高い繊細な音が出てきた。ただ、少し中域のボリュームが少ない印象。ネットワークのコンデンサを 6.8μF に変更して中域を増やした。エージングすると変化する可能性はあるが、とりあえず現状で試した範囲ではこれが一番音が良かった。

エッジの軟化処理は効果あり

ついでに、最近ネット情報で知ったスピーカーエッジの軟化処理をやってみた。

材質にもよるが、スピーカーのエッジは長年使っていると劣化して固くなることがある。そうなるとコーンの動きが悪くなるので、著しく音質が悪くなるのである。これを再び柔らかい状態に戻してやろうというのが軟化処理である。

J216PROのウーハーは比較的硬化しにくいとされる布製のエッジである。確かに手で触れた感じでは硬化しているようには感じない。しかし30年も経過したものなので、何かしら経年変化はしているだろう。ということで、とりあえず試しにやってみた。

ネット情報によれば軟化剤として使えるものは何種類かあるようだ。今回は一番無難そうな「クレポリメイト」を使ってみた。シリコーンオイルが主成分の艶出し剤だ。
このクレポリメイトを100均で買った絵筆につけてエッジに塗っていく。とても簡単な作業である。

スピーカーから音を出しながらどんどん塗っていくと、驚いたことにものの数分で効果が現れた。中〜低域の躍動感や解像度が増してきたのだ。バスドラムやベースの細かい音の変化が良く聞こえる。これは素晴らしい!

嬉しくなって、リビングに置いてあるミニコンポ用の十数年前のスピーカーにも塗布してみたら、同様の効果が得られた。こちらはウーハーとソフトドームツィーターにも塗布したので、高域から低域まで全域で解像感がアップした。

軟化処理にこれほど効果があるとは。古いスピーカーお使いの皆様、良かったらやってみてください。

仕上がり

数時間試聴を続けてみた感じでは、DAYTON AUDIO社のツィーターは、J216PROにそれなりに上手くマッチしたようである。
エッジの軟化処理のおかげもあってか、記憶の中にあるオリジナルのJ216PROの音に近い音になっていると思う。
キラキラとした高音、躍動感のある中低音がJBLらしい。小音量でも満足感のある音である。