Bridge over troubled Techs.

オープンストリーム CTO 寺田英雄のブログ

読書メモ:アクセル/デジタル時代の営業・最強の教科書

  • 本書は、新しい営業(セールス)のあり方を説いた本である。私は技術畑の出身であり、やはりどうしても科学技術系の本を読みたくなることが多く、普段はこの分野の本はあまり読まないが、MIT卒の計算機エンジニアが実践した科学的な営業手法を紹介している本ということで手にとってみた。 
アクセル  デジタル時代の営業 最強の教科書

アクセル デジタル時代の営業 最強の教科書

 
  • 著者は、マーク・ロベルジュ氏。創業間もないハブスポット社でイチから営業組織を構築し、大成功させた人である。営業経験ゼロから、エンジニアリング発想でそれを達成したというのが面白い。これは、今で言うマーケティング・オートメーションの概念につながっている。

目次(抜粋):

第1部 営業採用方式(いつもおなじように成功している営業スタッフを採用する)

第2部 営業育成方式(すべての営業スタッフに同じ方法で研修する)

第3部 営業マネジメント方式(営業スタッフに同じ営業プロセスを踏ませる)

第4部 見込み案件創出方式(営業スタッフに毎月同じ質と量のリードを与える)

第5部 テクノロジーと実験 

主な感想

  • 読んでみた結果は大当たり!であった。事前の予想では、最新のデジタルツールを駆使したオンライン営業のテクニック集のようなものかと思ったが、全くそれは違っていた。
  • 『デジタル化』と聞くと、デジタル=数値管理=冷酷で非人間的な管理強化・・・みたいなイメージを抱く人もいるかもしれないが、本書が主張していることは全く違う。ごく自然で当たり前の営業マン=人間の心理や行動をデジタルでうまくサポートすることで、加速=アクセラレーションしようという主旨である。
  • 実際、紙面の多くが著者が実際に自身の会社で実践した営業マンの採用や指導方法、顧客対応(電話の仕方の事例が多いのには驚いた)、評価体系の事例など、アナログで泥臭い話題に費やされている。
  • また、スタートアップなどで最初にどのような人材を採用すべきか、失敗しやすいポイントなども解説されていて、非常に参考になった。
  • では、どこがデジタル化の本質なのか?著者の主張の柱は『測定可能で予測可能な営業活動(売上)』である。まさにこれは科学的な思考方法だ。
  • 営業マンの行動や顧客のステータスなどをすべてをモデル化して定量的に評価して改善しようとする姿勢がすばらしい。従来なら『勘』や『経験』と呼ばれていた領域もモデル化してく様子には感銘をうけた。
  • モデルと指標があれば、トップ営業マンの行動特性を新人営業マンにも指導しやすい。安易な営業同行OJTなどより何倍も育成効果が高いだろう。
  • 後半は、見込み案件の創出、すなわちマーケティングの具体的手法が述べられている。特にハブスポット社が得意とするインバウンドマーケティングの手法が詳しく述べられていて、ここはすぐにでも仕事に使えそうである。

まとめ

  • この本は一応営業が主題だが、挙げられている思考法やノウハウは、エンジニアなど他の職種のマネージメントや育成・人事採用にも役立つと思う。デジタル時代の経営書としても読めるので、ビジネスに関わるあらゆる人におすすめできると思う。
  • 営業とマーケティングの連携はますます密接であることが求められる。インバウンドマーケティングはこれからのビジネスマンの必須の知識になるであろう。

 

 

読書メモ:社長、ウチにもCTOが必要です

CTOという言葉がタイトル入っている本は珍しいので読んでみた。いくつかヒントを得られたので価格分の価値はあったと思う。

社長、ウチにもCTOが必要です

社長、ウチにもCTOが必要です

 

サブタイトルの通り、前半というか大半がストーリー仕立てでCTO的な発想を伝えようとするもの。個人的には情報密度が薄くなるのでストーリー仕立ては好みではないが、こういう書き方が好きな人もいるのは分かる。

トーリー部完結後の最後のパートは『経営者インタビュー』となっており、ここが一番読み応えがあり興味深かった。日本の名だたる製造業でCTO職を設置している企業の経営者(またはCTO)へのインタビューである。

各社細部は異なるものの、通底するCTO発想というものを感じ取ることができた。(IT系の企業の方が登場していないのはちょっと気になったが・・・)ネタバレになるので詳細に興味のあるかたは原本をご覧ください。

とにかく、CTOがやるべきことをもう一度見直すことができ、自分に足りない点が改めて自覚できた気がする。

 

 

メモ:tf.nn.embedding_lookup() とは何か?

ひきつづきTensorFlowを勉強中。知らないことだらけなのがバレて恥ずかしいけれども、せっかくなので、調べたことをメモっておくシリーズ。

次にわからない関数はこれである。

tf.nn.embedding_lookup(params, ids, partition_sto) 

 embedding というと『組み込み』と脊髄反射してしまうが、ここでいう embedding はニューラルネット系業界用語である。まずこれを理解しないといけない。

Embeddingsとは?

ディープラーニングなどのニューラルネットは、基本的に連続値、つまりアナログな値をデータとして使わなければならない。使用するベクトルや行列・テンソルは全部連続値(計算機上は浮動小数点値)である。

しかし、それでは困ることに気がつく。離散的な値、つまりデジタルな値を使いたい場合はどうすれば良いのか?例えば言語処理などはどうすればよいのだろう?

その答えが Embeddings である。その方法は、離散的なオブジェクト(例:単語)を、連続値のベクトルにマッピングすることである。

TensorFlow にはこの Embedding をサポートする各種関数や可視化機能が用意されている。使い方などの詳しくはこちらを参照

embedding_lookup()とは?

上述のように、embeddingsが理解できれば、embedding_lookup() も理解できる。

この関数は引数 params に含まれる embedding 形式のテンソルの中かから、ids に該当するものを抽出するという動作を並列に実行する。

メモ:xavier_initializer_conv2d()とは何か?

TensorFlow(DeepLearning)を今日も勉強中。いろんなサンプルコードを解読しているが、まだまだ分からないことだらけである。今日も未知の関数に出くわした。それは、

tf.contrib.layers.xavier_initializer_conv2d() 

というやつである。こういうのを1個1個調べていくと、時間かかるけど大変勉強にはなる。せっかくなので調べた結果をメモしておく。

  • この関数の目的は、重み行列の初期化関数を与えることである。たいていはコンボリューションに使うフィルタ行列変数の初期化(tf.Variable(initializer))で使われる。
  • この関数は初期化の仕方に特徴があり、行列の各要素をランダムに初期化するが、そこに次のような制約を用いる:
    1. 各階層の勾配スケールを全てだいたい同じにする。
    2. オプションで一様分布(uniform)を指定したときは、要素値xの範囲は [-x, x] ただし、x = sqrt(6./ (in+out))である。
    3. オプションで正規分布(normal)を指定したときは、要素値xの範囲は [-x, x] ただし、x=sqrt(3./(in+out))である。
  • 'Xavier' という名前は、この初期化方法の発案者に由来する。原論文はこちら。和風発音だと「ザビエル」だが、たぶん正確には「ゼイヴィア」が近い。

AIはニーズ指向かシーズ指向か?

<FBとクロスポスト

現状のAI活用に関しては、ニーズ指向は結構無理があるのではと思っている。

現場のニーズに合わせてAIを設計しようとしても、苦労のわりに思ったほど高い性能が発揮できない可能性が高い。現状の『現場』は当然ながら人間が仕事をする前提で制度や空間が設計されているからである。

私は、現状のAIの特性を深く理解し、それが上手く行かせる新しい機能=ビジネスを発想するというアプローチを中心に考えたいと思っている。いわゆるシーズ指向である。

たとえばコールセンターの応答をAIに代替させようという話しが良くあるが、そうではなくて、AIを違う角度で膨らませたアーキテクチャーを考えて、コールセンターそのものが不要になるようなビジネススキームを発想する、というイメージである。

仏像の歴史と、システム開発の歴史

(以下の話は、ラジオかなにかで聞きかじった話で、私も歴史学や考古学の専門家ではないので、細部には誤りもあるかと思うので、その点ご注意ください)

 

日本の仏像製作は、仏教伝来した6世紀の飛鳥時代から始まり、鎌倉時代運慶/快慶で有名な慶派が登場したときに、完成度や芸術性などがピークに達したとされている。

写真:東大寺の阿形像(運慶・快慶作)

 

この時代の仏師は、一人で仏像の全身を彫り上げることができる力量をもっており、深い精神性や芸術性を感じさせる仏像を製作することができた。仏師は今で言う芸術家=アーティストに近い存在だったのだ。

 

その後、室町時代以降は、いろいろな理由から仏像製作のレベルは低下していき、徐々に仏師も『職業仏師』化していった。すなわち、仏像製作の分業化が進み、頭部だけ作る仏師やら、胴体だけを作る仏師やらに別れ、仏像の全身を彫り上げることのできる仏師は激減したらしい。その後現代にいたるまで、作品のレベルは鎌倉時代を超えることはできなくなった。

 

・・・この話を聞いて思ったのは、『これってソフト開発・システム開発の歴史に似ているな』ということである。

 

ITという言葉も産業としても存在しなかった初期の時代、コンピュータに取り組んでソフトを作るとなれば、一人で何でもやるのが普通だった。情報も少なかったが、ハードもソフトも何でも知り尽くしてやろう、という情熱のある人ばかりだった。そこに未来と可能性を感じた一部の人が、熱狂的に取組むのがコンピュータ・ソフト開発だったのだ。

 

現在のソフト開発は大規模化・複雑化していて、細かく分業して実施するのが普通になった。初期のころほどの熱気や、全体を深く見通してやろう、という人は相対的に少なくなった。これはコンピュータに限らず、どんな分野でも産業化にともなって必ず起きることで(例:ロック)、しょうがないのだけど、ちょっと寂しさを感じるのも事実。

 

・・・だからどうだというわけではないのですが、仏像の話でふと浮かんだので書き留めてみました。

読書メモ:『考える脳 考えるコンピュータ』

Numenta の HTM理論に興味をもったので読んでみた。結果的には非常に楽しく読めた。

考える脳 考えるコンピューター

考える脳 考えるコンピューター

 
  • 著者ジェフ・ホーキンスさんは超一流のエンジニア&起業家。一旦いくつかのビジネスを成功させてから、脳を模範にした汎用人工知能を開発するため大学に入り直して神経科学を学んでいる。この気合の入り方が凄い。
  • 2005年の出版だと考えると、その後今日に至るAI発展の萌芽になる話がいろいろ含まれているのが興味深い。Deep Learning(という言葉はもちろん使われていないが)の原型である脳の視覚野の話なども概説されている。
  • 彼のアイデアの根幹は、大脳新皮質の柱状構造をモデルにした人工知能。実はこの本全体がこの人工知能モデルの基本設計書みたいな雰囲気がある。執筆当時の最先端の神経科学の知見を援用しつつも、エンジニアらしい割り切りで『仕様』を決めている。現在 Numentaが取り組んでいるHTMもこの延長線上にある。
  • 近年急速に研究が進んだとはいえ、脳の内部構造は超絶に複雑で、まだまだ謎だらけである。しかし彼は『一見複雑に見えても、なんらかのシンプルな基本原理によって駆動されているはず』という信念にもとづき、いくつか仮説を導入しつつも設計をまとめている。
  • よく知られているように、大脳新皮質はいくつかの機能別の領野にわかれているが、実際に観察すると神経細胞の構造はどこも同じに見える。したがって脳の情報処理は、機能別に別のアルゴリズムを使うのではなく、統一された一つのアルゴリズムで動いているというのが彼の主張。
  • いくつかの神経科学の知見をもちいて、大脳新皮質は記憶にもとづく予測器の役割を果たしているとしている。この部分はいま自分が一番問題意識を持っているテーマに繋がるので興味深く読んだ。
  • 脳神経の活動のスパース性についても言及がある。
  • 『意識』がなぜ生じるのかにつても、大胆な?仮説を展開している。私はかなり説得力のある面白い説明だと思った。

 

今後は、NumentaのHTM(NuPIC)の具体的な中身を調べてみよう。